アナと雪の女王の原作 「雪の女王」 2つめの物語 とは 【前編】

7つのお話でできている雪の女王のお話って知っていますか?
悪い悪い魔法使いのお話です。

アナと雪の女王の原作と言われている「雪の女王」
音声朗読とともに、子供たちと一緒に読んでみませんか?

作品名:雪の女王
作品名読み:ゆきのじょおう

原題:SNEDRONNINGEN
副題:七つのお話でできているおとぎ物語
副題読み:ななつのおはなしでできているおとぎものがたり
著者名:アンデルセン ハンス・クリスチャン 

【日本語訳全文】青空文庫より

この物語は、プロの声優さんが朗読してくれた動画作品がありますので合わせてご紹介します。

第二のお話 男の子と女の子

転載元:美声朗読様
https://www.youtube.com/channel/UC_OPrXVVlowydwDMiNF6q2Q

 

たくさんの家がたてこんで、
おおぜい人がすんでいる大きな町では、
たれでも、庭にするだけの、あき地をもつわけにはいきませんでした。

ですから、たいてい、
植木鉢の花をみて、まんぞくしなければなりませんでした。

そういう町に、ふたりのまずしいこどもがすんでいて、
植木ばちよりもいくらか大きな花ぞのをもっていました。
そのふたりのこどもは、にいさんでも妹でもありませんでしたが、
まるでほんとうのきょうだいのように、仲よくしていました。

そのこどもたちの両親は、おむこうどうしで、
その住んでいる屋根うらべやは、二軒の家の屋根と屋根とがくっついた所に、
むかいあっていました。

 

そのしきりの所には、
一本の雨どいがとおっていて、両方から、
ひとつずつ、ちいさな窓が、のぞいていました。

 

で、といをひとまたぎしさえすれば、こちらの窓からむこうの窓へいけました。
こどもの親たちは、それぞれ木の箱を窓の外にだして、
台所でつかうお野菜をうえておきました。

 

そのほかにちょっとしたばらをひと株うえておいたのが、
みごとにそだって、いきおいよくのびていました。

ところで親たちのおもいつきで、
その箱を、といをまたいで、横にならべておいたので、
箱は窓と窓とのあいだで、むこうからこちらへと、

つづいて、そっくり、生きのいい花のかべを、ふたつならべたように見えました。

えんどう豆のつるは、箱から下のほうにたれさがり、
ばらの木は、いきおいよく長い枝をのばして、
それがまた、両方の窓にからみついて、おたがいにおじぎをしあっていました。
まあ花と青葉でこしらえた、アーチのようなものでした。
その箱は、高い所にありましたし、
こどもたちは、その上にはいあがってはいけないのをしっていました。
そこで、窓から屋根へ出て、ばらの花の下にある、ちいさなこしかけに、
こしをかけるおゆるしをいただいて、そこでおもしろそうに、あそびました。
冬になると、そういうあそびもだめになりました。
窓はどうかすると、まるっきりこおりついてしまいました。
そんなとき、こどもたちは、だんろの上で銅貨どうかをあたためて、
こおった窓ガラスに、この銅貨をおしつけました。

すると、そこにまるい、まんまるい、きれいなのぞきあなができあがって、
このあなのむこうに、両方の窓からひとつずつ、
それはそれはうれしそうな、やさしい目がぴかぴか光ります、
それがあの男の子と、女の子でした。

男の子はカイ、女の子はゲルダといいました。
夏のあいだは、ただひとまたぎで、いったりきたりしたものが、
冬になると、ふたりのこどもは、
いくつも、いくつも、はしごだんを、おりたりあがったりしなければ、
なりませんでした。

外には、雪がくるくる舞っていました。
「あれはね、白いみつばちがあつまって、とんでいるのだよ。」と、
おばあさんがいいました。

 

「あのなかにも、女王ばちがいるの。」と、
男の子はたずねました。

この子は、ほんとうのみつばちに、
そういうもののいることを、しっていたのです。

「ああ、いるともさ。」と、おばあさんはいいました。
「その女王ばちは、いつもたくさんなかまのあつまっているところに、
とんでいるのだよ。

なかまのなかでも、いちばんからだが大きくて、
けっして下にじっとしてはいない。
すぐと黒い雲のなかへとんではいってしまう。
ま夜中に、いく晩も、いく晩も、女王は町の通から通へとびまわって、
窓のところをのぞくのさ。

すると

ふしぎとそこでこおってしまって、窓は花をふきつけたように、見えるのだよ。」
「ああ、それ、みたことがありますよ。」と、
こどもたちは、口をそろえてさけびました。

そして、すると、これはほんとうの話なのだ、とおもいました。
「雪の女王さまは、うちのなかへもはいってこられるかしら。」と、女の子がたずねました。
「くるといいな。そうすれば、ぼく、それをあたたかいストーブの上にのせてやるよ。
すると女王はとろけてしまうだろう。」と、男の子がいいました。

でも、おばあさんは、
男の子のかみの毛をなでながら、ほかのお話をしてくれました。
その夕方、カイはうちにいて、着物きもの半分はんぶんぬぎかけながら、
ふとおもいついて、窓のそばの、いすの上にあがって、
れいのちいさなのぞきあなから、外をながめました。

おもてには、ちらちら、こな雪がっていましたが、
そのなかで大きなかたまりがひとひら、植木箱のはしにおちました。

するとみるみるそれは大きくなって、
とうとうそれが、まがいのない、わかい、ひとりの女の人になりました。

もう何百万という数の、星のように光るこな雪でった、
うすい白いしゃ着物きものを着ていました。

やさしい女の姿はしていましたが、氷のからだをしていました。
ぎらぎらひかる氷のからだをして、そのくせ生きているのです。

その目は、あかるい星をふたつならべたようでしたが、おちつきも休みもない目でした。
女は、カイのいる窓のほうに、うなずきながら、手まねぎしました。
カイはびっくりして、いすからとびおりてしまいました。
すぐそのあとで、大きな鳥が、窓の外をとんだような、けはいがしました。

そのあくる日は、からりとした、霜日しもびよりでした。
――それからは、日にまし、雪どけのようきになって、とうとう春が、やってきました。
お日さまはあたたかに、りかがやいて、みどりがもえだし、つばめは巣をつくりはじめました。

あのむかいあわせの屋根うらべやの窓も、
また、あけひろげられて、カイとゲルダとは、アパートのてっぺんの屋根上のあまどいの、
ちいさな花ぞので、ことしもあそびました。
この夏は、じつにみごとに、ばらの花がさきました。
女の子のゲルダは、ばらのことのうたわれている、さんび歌をしっていました。
そして、ばらの花というと、
ゲルダはすぐ、じぶんの花ぞののばらのことをかんがえました。
ゲルダは、そのさんび歌を、
カイにうたってきかせますと、カイもいっしょにうたいました。

「ばらのはな さきてはちりぬ
おさなごエス やがてあおがん」

ふたりのこどもは、手をとりあって、
ばらの花にほおずりして、神さまの、みひかりのかがやく、
お日さまをながめて、おさなごエスが、
そこに、おいでになるかのように、うたいかけました。

なんという、楽しい夏の日だったでしょう。
いきいきと、いつまでもさくことをやめないようにみえる、
ばらの花のにおいと、葉のみどりにつつまれた、
この屋根の上は、なんていいところでしたろう。
カイとゲルダは、ならんで掛けて、けものや鳥のかいてある、絵本をみていました。

ちょうどそのとき――お寺の、大きなとうの上で、とけいが、五つうちましたが――

カイは、ふと、
「あッ、なにかちくりとむねにささったよ。
それから、目にもなにかとびこんだようだ。」と、いいました。

あわてて、カイのくびを、ゲルダがかかえると、
男の子は目をぱちぱちやりました。
でも、目のなかにはなにもみえませんでした。
「じゃあ、とれてしまったのだろう。」と、カイはいいましたが、
それは、とれたのではありませんでした。

カイの目にはいったのは、れいの鏡から、とびちったかけらでした。
そら、おぼえているでしょう。

あのいやな、魔法まほうの鏡のかけらで、その鏡にうつすと、
大きくていいものも、ちいさく、いやなものに、みえるかわり、
いけないわるいものほど、いっそうきわだってわるく見え、
なんによらず、物事ものごとあらが、すぐめだって見えるのです。

かわいそうに、カイは、しんぞうに、かけらがひとつはいってしまいましたから、
まもなく、それは氷のかたまりのように、なるでしょう。

それなり、もういたみはしませんけれども、
たしかに、しんぞうの中にのこりました。

「なんだってべそをかくんだ。」と、カイはいいました。

「そんなみっともない顔をして、ぼくは、もうどうもなってやしないんだよ。」

「チェッ、なんだい。」

こんなふうに、カイはふいに、いいだしました。

「あのばらは虫がくっているよ。このばらも、
ずいぶんへんてこなばらだ。みんなきたならしいばらだな。
植わっている箱も箱なら、花も花だ。」
こういって、カイは、
足で植木の箱をけとばして、ばらの花をひきちぎってしまいました。

「カイちゃん、あんた、なにをするの。」と、
ゲルダはさけびました。

カイは、ゲルダのおどろいた顔をみると、
またほかのばらの花を、もぎりだしました。

それから、じぶんのうちの窓の中にとびこんで、
やさしいゲルダとも、はなれてしまいました。

 

第二話 後編

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ゲルダがそのあとで、絵本えほんをもってあそびにきたとき、
カイは、そんなもの、かあさんにだっこされている、
あかんぼのみるものだ、といいました。

また、おばあさまがお話をしても、
カイはのべつに「だって、だって。」とばかりいっていました。

それどころか、すきをみて、おばあさまのうしろにまわって、
目がねをかけて、おばあさまの口まねまで、
してみせました。

しかも、なかなかじょうずにやったので、
みんなはおかしがってわらいました。

まもなくカイは、町じゅうの人たちの、
身ぶりや口まねでも、できるようになりました。

なんでも、ひとくせかわったことや、
みっともないことなら、カイはまねすることをおぼえました。

「あの子はきっと、いいあたまなのにちがいない。」と、

みんないいましたが、それは、カイの目のなかにはいった鏡のかけらや、
しんぞうの奥ふかくささった、鏡のかけらのさせることでした。
そんなわけで、カイはまごころをささげて、
じぶんをしたってくれるゲルダまでも、いじめだしました。
カイのあそびも、すっかりかわって、ひどくこましゃくれたものになりました。

――ある冬の日、こな雪がさかんに舞いくるっているなかで、
カイは大きな虫目がねをもって、そとにでました。

 

そして青いうわぎのすそをひろげて、そのうえにふってくる雪をうけました。
「さあ、この目がねのところからのぞいてごらん、ゲルダちゃん。」と、
カイはいいました。

なるほど、雪のひとひらが、
ずっと大きく見えて、みごとにひらいた花か、
六角の星のようで、それはまったくうつくしいものでありました。

「ほら、ずいぶんたくみにできているだろう。
ほんとうの花なんか見るよりも、ずっとおもしろいよ。

かけたところなんか、ひとつだってないものね。
きちんと形をくずさずにいるのだよ。ただとけさえしなければね。」と、
カイはいいました。

そののちまもなく、カイはあつい手ぶくろをはめて、
そりをかついで、やってきました。

そしてゲルダにむかって、
「ぼく、ほかのこどもたちのあそんでいる、
ひろばのほうへいってもいいと、いわれたのだよ。」と、
ささやくと、そのままいってしまいました。

その大きなひろばでは、こどもたちのなかでも、あつかましいのが、
そりを、おひゃくしょうたちの馬車の、
うしろにいわえつけて、じょうずに馬車といっしょにすべっていました。

これは、なかなかおもしろいことでした。
こんなことで、こどもたちたれも、むちゅうになってあそんでいると、
そこへ、いちだい、大きなそりがやってきました。

それは、まっ白にぬってあって、なかにたれだか、
そまつな白い毛皮にくるまって、
白いそまつなぼうしをかぶった人がのっていました。

そのそりは二回ばかり、ひろばをぐるぐるまわりました。

そこでカイは、さっそくそれに、
じぶんのちいさなそりを、しばりつけて、
いっしょにすべっていきました。
その大そりは、だんだんはやくすべって、
やがて、つぎの大通を、まっすぐに、はしっていきました。

そりをはしらせていた人は、
くるりとふりかえって、
まるでよくカイをしっているように、なれなれしいようすで、

うなずきましたので、
カイはついそりをとくのをやめてしまいました。

こんなぐあいにして、
とうとうそりは町の門のそとに、でてしまいました。

そのとき、雪が、ひどくふってきたので、
カイはじぶんの手のさきもみることができませんでした。

それでもかまわず、そりははしっていきました。

カイはあせって、しきりとつなをうごかして、
その大そりからはなれようとしましたが、
小そりはしっかりと大そりにしばりつけられていて、
どうにもなりませんでした。

ただもう、大そりにひっぱられて、風のようにとんでいきました。
カイは大声をあげて、すくいをもとめましたが、
たれの耳にも、きこえませんでした。
雪はぶっつけるようにふりしきりました。
そりは前へ前へと、とんでいきました。

ときどき、そりがとびあがるのは、
いけがきや、おほりの上を、とびこすのでしょうか、
カイはまったくふるえあがってしまいました。

主のおいのりをしようと思っても、
あたまにうかんでくるのは、かけざんの九九ばかりでした。

こな雪のかたまりは、だんだん大きくなって、
しまいには、大きな白いにわとりのようになりました。
ふとその雪のにわとりが、両がわにとびたちました。
とたんに、大そりはとまりました。

そりをはしらせていた人が、たちあがったのを見ると、
毛皮のがいとうもぼうしも、すっかり雪でできていました。

それはすらりと、背の高い、目のくらむようにまっ白な女の人でした。
それが雪の女王だったのです。
「ずいぶんよくはしったわね。」と、
雪の女王はいいました。

「あら、あんた、ふるえているのね。わたしのくまの毛皮におはいり。」
こういいながら女王は、
カイをじぶんのそりにいれて、

かたわらにすわらせ、カイのからだに、
その毛皮をかけてやりました。

するとカイは、まるで雪のふきつもったなかに、
うずめられたように感じました。
「まださむいの。」と、女王はたずねました。
それからカイのひたいに、ほおをつけました。

まあ、それは、氷よりももっとつめたい感じでした。
そして、もう半分氷のかたまりになりかけていた、
カイのしんぞうに、じいんとしみわたりました。
カイはこのまま死んでしまうのではないかと、おもいました。

――けれど、それもほんのわずかのあいだで、
やがてカイは、すっかり、きもちがよくなって、
もう身のまわりのさむさなど、いっこう気にならなくなりました。

「ぼくのそりは――ぼくのそりを、わすれちゃいけない。」
カイがまず第一におもいだしたのは、じぶんのそりのことでありました。

そのそりは、白いにわとりのうちの一わに、
しっかりとむすびつけられました。

このにわとりは、そりをせなかにのせて、
カイのうしろでとんでいました。
雪の女王は、またもういちど、カイにほおずりしました。

それで、カイは、もう、かわいらしいゲルダのことも、
おばあさまのことも、うちのことも、
なにもかも、すっかりわすれてしまいました。

「さあ、もうほおずりはやめましょうね。」と、
雪の女王はいいました。

「このうえすると、お前を死なせてしまうかもしれないからね。」
カイは女王をみあげました。まあそのうつくしいことといったら。
カイは、これだけかしこそうなりっぱな顔がほかにあろうとは、
どうしたっておもえませんでした。
いつか窓のところにきて、手まねきしてみせたときとちがって、
もうこの女王が、氷でできているとは、おもえなくなりました。
カイの目には、女王は、申しぶんなくかんぜんで、
おそろしいなどとは、感じなくなりました。

 

それでうちとけて、じぶんは分数ぶんすうまでも、あんざんで、
できることや、じぶんの国が、いく平方マイルあって、
どのくらいの人口があるか、しっていることまで、話しました。

 

女王は、しじゅう、にこにこして、それをきいていました。

それが、なんだ、しっていることは、それっぱかしかと、
いわれたようにおもって、あらためて、ひろいひろい大空をあおぎました。

すると、女王はカイをつれて、たかくとびました。
高い黒雲の上までも、とんで行きました。
あらしはざあざあ、ひゅうひゅう、
ふきすさんで、昔の歌でもうたっているようでした。

女王とカイは、森や、湖や、海や、陸の上を、とんで行きました。
下のほうでは、つめたい風がごうごううなって、おおかみのむれがほえたり、
雪がしゃっしゃっときしったりして、
その上に、まっくろなからすがカアカアないてとんでいました。

しかし、はるか上のほうには、
お月さまが、大きくこうこうと、照っていました。
このお月さまを、ながいながい冬の夜じゅう、カイはながめてあかしました。
ひるになると、カイは女王の足もとでねむりました。

 

 

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ドリコレライブラリー館長大原康弘
ドリコレライブラリー館長大原康弘
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