アナ と 雪の女王の原作 「雪の女王」 2つめの物語 とは 【後編】

7つのお話でできている雪の女王のお話って知っていますか?
悪い悪い魔法使いのお話です。

アナと雪の女王の原作と言われている「雪の女王」
音声朗読とともに、子供たちと一緒に読んでみませんか?

作品名:雪の女王
作品名読み:ゆきのじょおう

原題:SNEDRONNINGEN
副題:七つのお話でできているおとぎ物語
副題読み:ななつのおはなしでできているおとぎものがたり
著者名:アンデルセン ハンス・クリスチャン 

【日本語訳全文】青空文庫より

この物語は、プロの声優さんが朗読してくれた動画作品がありますのでご紹介します。

第二のお話 男の子と女の子 後編

転載元:美声朗読様
https://www.youtube.com/channel/UC_OPrXVVlowydwDMiNF6q2Q

第二話 後編

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ゲルダがそのあとで、絵本えほんをもってあそびにきたとき、
カイは、そんなもの、かあさんにだっこされている、
あかんぼのみるものだ、といいました。

また、おばあさまがお話をしても、
カイはのべつに「だって、だって。」とばかりいっていました。

それどころか、すきをみて、おばあさまのうしろにまわって、
目がねをかけて、おばあさまの口まねまで、
してみせました。

しかも、なかなかじょうずにやったので、
みんなはおかしがってわらいました。

まもなくカイは、町じゅうの人たちの、
身ぶりや口まねでも、できるようになりました。

なんでも、ひとくせかわったことや、
みっともないことなら、カイはまねすることをおぼえました。

「あの子はきっと、いいあたまなのにちがいない。」と、

みんないいましたが、それは、カイの目のなかにはいった鏡のかけらや、
しんぞうの奥ふかくささった、鏡のかけらのさせることでした。
そんなわけで、カイはまごころをささげて、
じぶんをしたってくれるゲルダまでも、いじめだしました。
カイのあそびも、すっかりかわって、ひどくこましゃくれたものになりました。

――ある冬の日、こな雪がさかんに舞いくるっているなかで、
カイは大きな虫目がねをもって、そとにでました。

そして青いうわぎのすそをひろげて、そのうえにふってくる雪をうけました。
「さあ、この目がねのところからのぞいてごらん、ゲルダちゃん。」と、
カイはいいました。

なるほど、雪のひとひらが、
ずっと大きく見えて、みごとにひらいた花か、
六角の星のようで、それはまったくうつくしいものでありました。

「ほら、ずいぶんたくみにできているだろう。
ほんとうの花なんか見るよりも、ずっとおもしろいよ。

かけたところなんか、ひとつだってないものね。
きちんと形をくずさずにいるのだよ。ただとけさえしなければね。」と、
カイはいいました。

そののちまもなく、カイはあつい手ぶくろをはめて、
そりをかついで、やってきました。

そしてゲルダにむかって、
「ぼく、ほかのこどもたちのあそんでいる、
ひろばのほうへいってもいいと、いわれたのだよ。」と、
ささやくと、そのままいってしまいました。

その大きなひろばでは、こどもたちのなかでも、あつかましいのが、
そりを、おひゃくしょうたちの馬車の、
うしろにいわえつけて、じょうずに馬車といっしょにすべっていました。

これは、なかなかおもしろいことでした。
こんなことで、こどもたちたれも、むちゅうになってあそんでいると、
そこへ、いちだい、大きなそりがやってきました。

それは、まっ白にぬってあって、なかにたれだか、
そまつな白い毛皮にくるまって、
白いそまつなぼうしをかぶった人がのっていました。

そのそりは二回ばかり、ひろばをぐるぐるまわりました。

そこでカイは、さっそくそれに、
じぶんのちいさなそりを、しばりつけて、
いっしょにすべっていきました。
その大そりは、だんだんはやくすべって、
やがて、つぎの大通を、まっすぐに、はしっていきました。

そりをはしらせていた人は、
くるりとふりかえって、
まるでよくカイをしっているように、なれなれしいようすで、

うなずきましたので、
カイはついそりをとくのをやめてしまいました。

こんなぐあいにして、
とうとうそりは町の門のそとに、でてしまいました。

そのとき、雪が、ひどくふってきたので、
カイはじぶんの手のさきもみることができませんでした。

それでもかまわず、そりははしっていきました。

カイはあせって、しきりとつなをうごかして、
その大そりからはなれようとしましたが、
小そりはしっかりと大そりにしばりつけられていて、
どうにもなりませんでした。

ただもう、大そりにひっぱられて、風のようにとんでいきました。
カイは大声をあげて、すくいをもとめましたが、
たれの耳にも、きこえませんでした。
雪はぶっつけるようにふりしきりました。
そりは前へ前へと、とんでいきました。

ときどき、そりがとびあがるのは、
いけがきや、おほりの上を、とびこすのでしょうか、
カイはまったくふるえあがってしまいました。

主のおいのりをしようと思っても、
あたまにうかんでくるのは、かけざんの九九ばかりでした。

こな雪のかたまりは、だんだん大きくなって、
しまいには、大きな白いにわとりのようになりました。
ふとその雪のにわとりが、両がわにとびたちました。
とたんに、大そりはとまりました。

そりをはしらせていた人が、たちあがったのを見ると、
毛皮のがいとうもぼうしも、すっかり雪でできていました。

それはすらりと、背の高い、目のくらむようにまっ白な女の人でした。
それが雪の女王だったのです。
「ずいぶんよくはしったわね。」と、
雪の女王はいいました。

「あら、あんた、ふるえているのね。わたしのくまの毛皮におはいり。」
こういいながら女王は、
カイをじぶんのそりにいれて、

かたわらにすわらせ、カイのからだに、
その毛皮をかけてやりました。

するとカイは、まるで雪のふきつもったなかに、
うずめられたように感じました。
「まださむいの。」と、女王はたずねました。
それからカイのひたいに、ほおをつけました。

まあ、それは、氷よりももっとつめたい感じでした。
そして、もう半分氷のかたまりになりかけていた、
カイのしんぞうに、じいんとしみわたりました。
カイはこのまま死んでしまうのではないかと、おもいました。

――けれど、それもほんのわずかのあいだで、
やがてカイは、すっかり、きもちがよくなって、
もう身のまわりのさむさなど、いっこう気にならなくなりました。

「ぼくのそりは――ぼくのそりを、わすれちゃいけない。」
カイがまず第一におもいだしたのは、じぶんのそりのことでありました。

そのそりは、白いにわとりのうちの一わに、
しっかりとむすびつけられました。

このにわとりは、そりをせなかにのせて、
カイのうしろでとんでいました。
雪の女王は、またもういちど、カイにほおずりしました。

それで、カイは、もう、かわいらしいゲルダのことも、
おばあさまのことも、うちのことも、
なにもかも、すっかりわすれてしまいました。

「さあ、もうほおずりはやめましょうね。」と、
雪の女王はいいました。

「このうえすると、お前を死なせてしまうかもしれないからね。」
カイは女王をみあげました。まあそのうつくしいことといったら。
カイは、これだけかしこそうなりっぱな顔がほかにあろうとは、
どうしたっておもえませんでした。
いつか窓のところにきて、手まねきしてみせたときとちがって、
もうこの女王が、氷でできているとは、おもえなくなりました。
カイの目には、女王は、申しぶんなくかんぜんで、
おそろしいなどとは、感じなくなりました。

それでうちとけて、じぶんは分数ぶんすうまでも、あんざんで、
できることや、じぶんの国が、いく平方マイルあって、
どのくらいの人口があるか、しっていることまで、話しました。

女王は、しじゅう、にこにこして、それをきいていました。

それが、なんだ、しっていることは、それっぱかしかと、
いわれたようにおもって、あらためて、ひろいひろい大空をあおぎました。

すると、女王はカイをつれて、たかくとびました。
高い黒雲の上までも、とんで行きました。
あらしはざあざあ、ひゅうひゅう、
ふきすさんで、昔の歌でもうたっているようでした。

女王とカイは、森や、湖や、海や、陸の上を、とんで行きました。
下のほうでは、つめたい風がごうごううなって、おおかみのむれがほえたり、
雪がしゃっしゃっときしったりして、
その上に、まっくろなからすがカアカアないてとんでいました。

しかし、はるか上のほうには、
お月さまが、大きくこうこうと、照っていました。
このお月さまを、ながいながい冬の夜じゅう、カイはながめてあかしました。
ひるになると、カイは女王の足もとでねむりました。

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ドリコレライブラリー館長大原康弘
ドリコレライブラリー館長大原康弘
ゼロから30日間で夢を叶える方法を絵本にまとめます。 子どもに絵本wo!プロジェクト進行中! 夢を叶える物語をコレクションする ドリコレライブラリー館長 大原康弘

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